『小学校算数 楽しい物語の中で学ぶ時刻と時間』

「あのね、先生の船ははぼくたちのより10分遅く着くんだよ~!」

とお迎えのお母さんに報告してくれたのは1年生の男の子。

私の船の作りはちょっと雑で(急いでたもので...)、丁寧に作った子どもたちの

船の方が私よりも10分速く湖を渡ることができるという設定にしました。

これは時刻と時間のを学んでいる様子です。

 

 

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無人島でね...」から始まる物語の中で、子どもたちは、1年生で学ぶ時刻だけでなく

2年生で学ぶ時間との違いを意識し、さらに太陽光発電によるエネルギーの確保、

ちょっと流体力学に触れての船の進み方まで、想像とアイデアが止まりませんでした。

先週自分たちで作った針が動かせる時計も使います。(写真を撮り忘れましたが...)

すでに理系の大学生となった息子たちが小学生の時にも、一緒に工作用紙で時計を

作りましたが、市販の教具の時計よりも、自分だけのオリジナルである方が愛着も

あったようです。

 

私が物語の中で学ぶ楽しさを初めて目にしたのはもう7年ほど前のこと。

Bransford博士らが研究していたThe Jasper Projectについて、故三宅なほみ教授

東京大学)に教えて頂きました。

身近な場面で課題を解決していく楽しさを、小学校算数でも取り入れられないかと

イデアを温めていたところ、今年度は低学年クラスが2クラスできたので、

授業をデザインして子どもたちと楽しんでいるところです。

大した道具も材料も要りませんので、ご家庭でも十分再現可能です。

成果も論文などに残せたらと思うのですけど。

 

先月からの無人島でのお話しを始めます。

「島で病気になったら困るから薬草を採りにいこうと思うの。湖へ行って、

船で渡って、薬草を採りに行こうよ! 湖の周りには、凶暴な動物が出てくる森が

あるからそこは通れないのよね。」

時計を見せながら

「小屋(先週作りました)を出発した時刻は?(ここが1年生の範囲)」

と聞くと、元気に

「8時!」

と答えてくれる子どもたち。

「目の前の湖を船で渡ろう! 私の船で渡るとこの時刻に着いたよ。」

と時計を見せて、

「えっと、5、、10、15、20で8時20分だ!」

このように話は続き、さらに薬草の場所まで歩くと到着が8時40分ということが

わかりました。

 

「さて、小屋を出てから薬草までは何分間かかったかわかるかな?」

と聞くと、ここは実は学校でもテキストでも学習していないのですが、

時計の長い針の動きをじっとみて、

「20+20で40分じゃない?」

と解いてしまった子どもたち。

実はこの先にも「17時の日暮れまでに帰るには?」というような

応用問題も考えながら、時刻と時間についてたくさん学ぶことができました。

 

工作がしたくてうずうずし始めた子どもたちに、

「性能がいい船が作れたら、湖はもっと速く渡れるかもね!」

というと、嬉しそうに船の制作にとりかかりました。

出来上がった船には、太陽電池パネルがついていたり、波よけがついていたり、

飛行機のような羽までも!?

気付けば私の船にもつけてくれていました。

優しい! 子どもたち!

 

 

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物語を一緒に作りながらの算数は、「算数って使えそう!」と思わせることができる

だけでなく、きっと記憶にも残ることでしょう。