『1、2、3・・・10、と子どもに教えた時に起こる残念なこと』
小学校1年生では、最初に1から10までの数を学びます。
入学前に学んでいるお子さんも多いことでしょう。
実はここで残念なことが起こっていることに気づくのは、2年生になってからの場合が多いようです。
教室でもよく起こることで、この残念な思い違いを直すのは結構大変なのです。
しかも思い違いは子どものせいではありません。
数の学び方、教え方をちょっと意識するだけで、思い違いが起こらなくなります。
私たちが普段使う数を表す記号は、インド・アラビア数字です。
0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、の10個です。
そうなんです、「10」という塊の記号(数字)はないのですよね。
ですが、普通は10までいっきに教えてしまいます。
実は、重要な「位取りに出会う」というイベントが発生しているのに、説明しないことがほとんどなのです。
学校でもです。
子どもにしてみれば、知らない間に「位取り」と出会っていて、それを意識させられなければ「10」という1つの記号があると思い込むのは自然なことです。
でもこれは、後の2桁以上の数のの学習で、かなりの弊害となってしまいます。
この当然起こってしまう思い込みを、認知科学、学習科学では「誤概念」と言います。
良い先生は、どの場面でこの誤概念が起こりやすいのかをちゃんと知っていて、それが起こらないように、またもし身に付けてしまっていたら払拭するように指導します。
例えば分数でも有名な誤概念が存在しますが、これはまた別の機会に。
さて、この厄介な今回の誤概念、身に付けてしまった場合はどのようにして払拭すればよいでしょう。
それは、位取りシートなどを使って位取りを意識させることが有効です。
数と量の一致も重要です。
10のまとまりができた時に「上の位に移動させる」というのは、十進位取り記数法のとても大事な概念です。
同じ「1」でも場所が変わると、表す量が違うことを、タイルを見ながら確認します。
右から2つ目の位に置いてあることが分かるためには空位を表す「0」の存在も重要です。
位取りシートは手描きでも良いと思いますし、タイルは折り紙や色画用紙などで作ってもよいですね。
作る手間を省きたい方は、位取りシートと数字カードは教室で使っているものをダウンロードできるようにしておきます。(タイルは作ってくださいね)
是非使って、誤概念を払拭してください。
〇位取りシート *今後公開を中止する可能性もあります
〇数字カード *今後公開を中止する可能性もあります
〇遊び方(学び方)の例
①目的:記数法の確認
声掛けの例:
タイルを置きながら「十が2個と一が3個でいくつでしょう?」と質問
「数字カードを置いてみて」と位取りシートに置くように促す
最後に「この数字を読んでみて」と読み方の確認
①目的:量と数の一致
声掛けの例:
位取りシートの十の位に「3」、一の位に「5」の数字カードを置く
「この数が表しているタイルを置いてみて」とタイルを置くように促す
最後に「この数字を読んでみて」と読み方の確認
ここまでくるとお気づきだと思いますが、この十進位取り記数法では10のまとまりがとても重要です。
10のまとまりを楽しく学ぶ方法もまたご紹介したいと思います。