『小学校算数 立体図形が飛び出す美しいカード作り』

12月のこの時期は、どのクラスでも「灯り」を作ります。

今年の5、6年生のクラスでは、立体が飛び出すカードの仕組みを考えて、カード式の灯りを作りました。

仕組みを考えることで自分で設計できるようになります。


1つの直方体が飛び出すだけならまだ簡単なのですが、2つの大きさが違う直方体がプレゼントになって飛び出してくるのですから大変!

みんなで出来上がりを観察して、どうすれば良いか考えました。

デザインナイフも上手に使えました。

最後に、10㎝毎に8個繋がっているLEDライトの配置もよーく考えて、カードが完成♪

電気を消すと…

「うわぁ! きれい!」

子どもたちから歓声が上がりました。

 

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どんなものでも算数に繋がるし、繋がった知識はきっと忘れないことでしょう。

家庭でゆっくり楽しく学べる強さです。


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『小学校算数 現実世界では意味を持つ図形たち』

 

小学校で学ぶ図形の単元では、各部位の名称を覚えたり、面積、体積の出し方を学ぶことがゴールになりがちで、意外に「嫌い!」という子どもたちも多いです。

 

東京大学工学系ゼミを担当した時に、そこでは学生と科学の授業をデザインしていたのですが、工学系らしく現実世界における図形の意味を議論することもありました。

三角柱、四角柱、六角柱、などの強度を調べて棚を作ったりするのです。

重力や大気圧などを考えた時、図形たちはぐっと意味を持ってきますよね。

そんなことも子どもたちに感じてもらいたと思っています。

 

さて、今回紹介するのは無人島シリーズ初回の内容です。

 

無人島にたどり着いた子どもたちですが、なんと雨雲が迫ってきています。

これはたいへん!

枝などを使って人が入れる小屋(構造物)を作らなくては!

 

この物語に子どもたちはすっかり入ってきてくれて、枝に見立てたストロー、最小限で作れる構造物を考えます。

たどり着いたのは四面体。

早速、ストローとゴムを使って作ります。

小学校では学習しない四面体(三角錐)ですが、子どもたちが図形の持つ意味を考えるには十分魅力的な形です。

 

ゴムにストロー(4cm)を4つ通して、1つのストローだけゴムを二重に通し、ひし形にします。

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さらに1つ通して対角線のように置き、図の右下の1つにゴムを通します。

 

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右に1つ通して、左の2つと合わせて3辺にし、底面を作ります。

もう一方のゴムの橋と直接結べるようにうまく調整(ストローに通す)して、結べば出来上がりです。

 

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無人島に見立てたテーブルの上に置き、子どもたちの創造の物語はどんどん続いていきました。

これからは、図形を見たら、何か意味を考えてくれるようになるのかな?と楽しみにしています。

 

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『小学生プログラミング デジタルリテラシーについて東京大学の先生と話してみました』

小学校ではプログラミングが来年度から必修化されるので、色々と気になっている方も多いことでしょう。

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「そもそも、デジタル世界、コンピューター世界の全体像ってどうなってるんだろう?」

とか、

「表面だけのプログラミングを体験してためになるのか?」

とか、疑問は山ほどですよね。

 
私は大学卒業後、大手メーカーのシステムエンジニアとして流通業のお客様向けのシステムを開発していました。

その時受けた教育や、業務経験を考えてみても、なんだか小学校で始まるプログラミング教育は表面をなぞるものばかりで、これでデジタルリテラシーが育つとも思えないのです。

ユーザーとしての自覚は芽生えるかもしれないけれど。

 
そんな疑問について、東京大学の美馬秀樹先生(MIMAサーチの開発者)にもお伺いしてみました。

東京大学大学院工学研究科に勤務していた時に、チームで先端技術特別講義という工学部の授業をデザイン、運営していたのですが、美馬先生はそのチームのリーダでした。

 
先生も、学校で学ぶものはあまりにブラックボックスだらけではないのかと言われていました。

結局のところ、コンピューターが何をしているのかはよくわからないまま。

「もしかしたら、高学年ならアセンブリ言語(コンピューターに生の動作を指示できる)を体験してみるのもよいのかも!」

という話にもなりました。

デジタルデータの扱いについても分かりますし。

アセンブリ言語から今をときめくAIまで、どのようにつながっていくのか、その体系などもわかれば良い気がするのですけどね。

そうすれば、

「あ、だから子どもたちは学校でこれを学ぶのね!」

と、親も納得できるってもんです。

 


9日にはAIの研究者とお会いする予定なので、AIエンジニアについても聞いてきます。

仮に学習指導要領が言うところの「プログラミング的思考」ができるようになっても、実現方法の基礎(コンピューターってそもそも何)がわからないのでは独習も、先に進むこともできないですよね。

そんなこともまとめて記事にできたらと思っています。

 

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『小学校算数 クッキーパーティのお部屋で、かけ算もわり算もゆるく先取り!』

「うちの子は算数が得意かも?」と感じた時に、先取り教育について頭に浮かぶ

お父さん、お母さんも多いと思います。

我が家は長男(今は理系の大学3年生)が4月生まれだということもあって、小学生の

頃は常に先取り教育についても考えていました。

とはいえ「機械的に暗記したり無理やり詰め込むのは違う!」というのは、多くの方が

感じていることだと思います。

専門とする認知心理学(学習科学)では、「学ぶ」ということは研究的にも

定義されていて、簡単にいうと「箇条書きの暗記ではなく知識を体系化すること」

となります。

例えば「かけ算九九」を暗記することと「かけ算という演算」について学ぶことは

違うことなのですよね。

 

では「かけ算という演算」についてどのようにご家庭で学ぶのが良いかというと、

場面の中で学んで自分の知識とつなげていく、という方法があります。

(さらにそれを抽象化する必要もありますが)

 

教室に来ている1年生と2年生は、先週「かけ算クッキーパーティ」というお部屋を

作りました♪

とても簡単に作れて、かけ算とわり算の概念を学ぶことができるのでお勧めです。

学校でかけ算を学習していない場合は、「かけ算九九」を並行して覚えながら

進めます。

 

<かけ算クッキーパーティのお部屋>

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1年生の子は先取りでかけ算を学習していますが、このお部屋を使いながら

かけ算の意味を理解していっています。

「5人のお客様が来ました。」

「え~! ここはレストランみたい~」 ←そこは重要じゃないんだけど(笑)

「3個のクッキーを5人のお客様に出してあげましょう。何個いるかな?」

というと、

「3個ずつで、お皿が5枚だから、3×5で15?」

「そうだね、かけ算は同じ数を何回繰り返すかだから、ここではお皿の数が

繰り返す数になるね。」

と説明します。

さらに、

「お客様が6人増えたみたいです!」

「ええ! それは大変!」 ←ちゃんと物語に入ってくれている子どもたち♪

「クッキーを何個増やせばいいでしょう?

「お皿が1皿増えるから3個増やせばいいと思う。」

と、しっかりかけ算の意味を理解しつつあります。

 

 3×5=15

 3×6=18

 

と式でも確認しておくことが大切です。

かけ算九九まで知っているならさらに発展させて、

「お客様が10人来ちゃいました!」

とつなげていくと、九九の範囲以外にもかけ算がある(覚えるのが九九までな

だけ)ということにも気づけます。

 

同じく先取りで「わり算が知りたい!」という2年生のこどもには、

「18個のクッキーがあります。お客様が6人に同じ数ずつ配ります。

一人何個ずつになりますか?」

と聞くと、さっきのかけ算の分け方を思い出して、

「さっきのど同じだ! わり算ってかけ算と同じ?」

と大発見をしてくれます。(同じではないですけど)

 

<わり算にも使えます> 20個のクッキーを5人に分けているところ

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そしてもう1問、

「18個のクッキーがあります。3個ずつ配ると何人のお客様に配ることが

できますか?」

と問題を出してみます。

そしてここでも大発見!

「わり算って2種類あるの? どっちもわり算なの?」

と。

そうなんです、わり算には前の問題(等分除)と、後の問題(包含除)という

2種類の場面があるのです。

そこに気づくと、問題を解くときにも客観的に考えることができます。

初めてのわり算でここまで発見できるなんて、子どもたちの才能には驚かされ

ます。

 

来週はこのクッキーパーティーのお部屋(子どもたちはレストランと呼んでます)

をグレードアップする予定です。

窓とカーテンをつけるのだとか。

どんなお部屋になるのかな~

 

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『小学校算数 楽しい物語の中で学ぶ時刻と時間』

「あのね、先生の船ははぼくたちのより10分遅く着くんだよ~!」

とお迎えのお母さんに報告してくれたのは1年生の男の子。

私の船の作りはちょっと雑で(急いでたもので...)、丁寧に作った子どもたちの

船の方が私よりも10分速く湖を渡ることができるという設定にしました。

これは時刻と時間のを学んでいる様子です。

 

 

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無人島でね...」から始まる物語の中で、子どもたちは、1年生で学ぶ時刻だけでなく

2年生で学ぶ時間との違いを意識し、さらに太陽光発電によるエネルギーの確保、

ちょっと流体力学に触れての船の進み方まで、想像とアイデアが止まりませんでした。

先週自分たちで作った針が動かせる時計も使います。(写真を撮り忘れましたが...)

すでに理系の大学生となった息子たちが小学生の時にも、一緒に工作用紙で時計を

作りましたが、市販の教具の時計よりも、自分だけのオリジナルである方が愛着も

あったようです。

 

私が物語の中で学ぶ楽しさを初めて目にしたのはもう7年ほど前のこと。

Bransford博士らが研究していたThe Jasper Projectについて、故三宅なほみ教授

東京大学)に教えて頂きました。

身近な場面で課題を解決していく楽しさを、小学校算数でも取り入れられないかと

イデアを温めていたところ、今年度は低学年クラスが2クラスできたので、

授業をデザインして子どもたちと楽しんでいるところです。

大した道具も材料も要りませんので、ご家庭でも十分再現可能です。

成果も論文などに残せたらと思うのですけど。

 

先月からの無人島でのお話しを始めます。

「島で病気になったら困るから薬草を採りにいこうと思うの。湖へ行って、

船で渡って、薬草を採りに行こうよ! 湖の周りには、凶暴な動物が出てくる森が

あるからそこは通れないのよね。」

時計を見せながら

「小屋(先週作りました)を出発した時刻は?(ここが1年生の範囲)」

と聞くと、元気に

「8時!」

と答えてくれる子どもたち。

「目の前の湖を船で渡ろう! 私の船で渡るとこの時刻に着いたよ。」

と時計を見せて、

「えっと、5、、10、15、20で8時20分だ!」

このように話は続き、さらに薬草の場所まで歩くと到着が8時40分ということが

わかりました。

 

「さて、小屋を出てから薬草までは何分間かかったかわかるかな?」

と聞くと、ここは実は学校でもテキストでも学習していないのですが、

時計の長い針の動きをじっとみて、

「20+20で40分じゃない?」

と解いてしまった子どもたち。

実はこの先にも「17時の日暮れまでに帰るには?」というような

応用問題も考えながら、時刻と時間についてたくさん学ぶことができました。

 

工作がしたくてうずうずし始めた子どもたちに、

「性能がいい船が作れたら、湖はもっと速く渡れるかもね!」

というと、嬉しそうに船の制作にとりかかりました。

出来上がった船には、太陽電池パネルがついていたり、波よけがついていたり、

飛行機のような羽までも!?

気付けば私の船にもつけてくれていました。

優しい! 子どもたち!

 

 

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物語を一緒に作りながらの算数は、「算数って使えそう!」と思わせることができる

だけでなく、きっと記憶にも残ることでしょう。

 

『小学校算数 クッキーパーティのミニチュアで学ぶ、楽しいかけ算、結合法則、分配法則』

子どもたちはミニチュアが大好き!

単純なミニチュアでも子どもたちの想像は止まらず、たくさんの物語が生まれます。

そんな子どもたちと一緒に、単純なミニチュアを作ってかけ算を学びます。

 

飛び出すカードの仕組みを利用してテーブルを作り、そこに9枚のお皿を貼り付けました。

お皿が9枚なのはかけ算九九に対応しているからですが、クッキーパーティにお招きするお客様は9人でなくてもよいのです。

写真は6人のお客様に5枚ずつのクッキーを用意したところ。

椅子はおまけなので数は関係ありません。

 

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同じ数のいちごクッキーにチョコクッキーを、子どもたちは楽しそうにお皿に置いていきます。

5個の繰り返しなので、全部で何個のクッキーが必要かはかけ算の「5×6=30」で計算できますね。

同じ数ずつクッキーを配る時にしか、かけ算が使えないことも確認しておくことが大切です。

 

さらに、イチゴとチョコのクッキーを別々にかけ算して全体の数を求める場合は「3×6+2×6=30」となります。

かける数(お皿の数)は6で同じなので「(3+2)×6=30」というように結合法則が使えることがわかります。

クッキーパーティの場面を見ると一目瞭然ですよね。

逆に分配法則の意味も考えられるでしょう。

そして結合法則は、6年生で学習する円の面積(円の中で円がくりぬかれてるような図形)の面積の計算でとても役に立ちます。

 

カード式で持ち運べるこのかけ算の教具は、これから先取り学習をする1年生に使っていきます♪

わり算の学習でも使います。

 

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『"中学受験をしない選択"のその後 大学院で留学を考える大学生に育ちました』

関東圏では中学受験が盛んで、公立中学にいくとお先真っ暗なのでは?と

思ってるお父さん、お母さんも多いのかもしれません。

我が家はそういうわけではなかったのですが、ちょうど進学を考える時期に近くの

公立中学の評判がとても悪くなり、中学受験の準備も進めながら様子を見守ることに

しました。

学校を選べば私立中学の学習環境は公立中学よりも良いものであることはわかって

いても、小学生という友達とたくさん遊んでケンカする経験もできるこの時期に

塾で詰め込む時間を過ごさせることに抵抗を感じたことと、某受験塾の通信講座を

取ってみて「中学の学習が前倒しになっただけなら、急がなくていいのではない?」

と思ったこともあって、マイペースにどちらも選択できる準備をしていくことに

したのです。

中学受験の準備と言っても、年に2回ほどとある受験塾の入塾テストを受けてみる

(準備にはちょっとコツがいるかも)くらいですが、対策もうまくいって常に

最上位クラスの入塾資格をとれていました。

これなら急がなくてよいかなとも思いまして。

何よりも、本人が「塾に行くより外で遊びたい!」と言ってたこともあって(笑)

 

そして最大の懸念事項だった公立中学の状況については、噂ばかりが先行している

ようにも見えたので、同級生のお母さんたちに「中学の校長先生に直接お話を

聞る?」と誘ってみました。

その結果、なんと8名も一緒に校長先生をお訪ねすることになったのですが

これは大正解でした。

ちょうど校長先生が替わられ「私が責任をもってお子さんたちを預かりますから

安心して進学させて下さい!」と言われたのです。

後で色々を知ることになるのですが、この校長先生は海外でも指導された経験も

あり、尊敬できる人格者で、中学はみるみる変わっていきました。

これが長男が5年生の終わりの頃でした。

 

「そうか、それなら受験をしなくていいから、その費用は違うことに使えるよねっ!」

とのん気に?喜んで、親子でオーストラリアに1回、アメリカに2回もホームステイを

することになりました。

このことはまた別にご紹介できたらと思っていますが、この経験は息子たちの

生き方を変えたかもしれません。

 

<シュタイナースクールのキャンプにも参加した次男>

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長男は、公立中学から公立の進学校へ進学し、国立大学へ。

友達とたくさんけんかもして外遊びもして、という小学生時代は彼の人格の土台にも

なったと思います。

大学生になった今はアメリカンフットボール部で活躍しているようで、この後進学

予定の大学院では留学も考えています。

高校、大学で、一生の友人になるであろう仲間と出会えたのも、小学生の時に

多様性の中で培われた人間関係のバランス力も助けになっている気がします。

 

とはいえ、息子たちが選択しなかっただけで、今も中学受験が悪いとは全く思って

いません。

そこで得られる学習環境は、受験に成功した人たちだけが得られる特権だとも

思います。

ですが長い人生で必要な力は「学習環境」からだけでは得られないというのも

今実感していることです。

いつどこでどのように時間を使うのか、人に与えられる時間はきっと平等なのですね。

 

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